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改正建築基準法の事

去年の夏過ぎから、新聞やテレビのニュースで取り上げられる事が多くなった「改正建築基準法」ですが、意外と何が大きく変わったか知られていませんよね。家を購入したり、持ち家を改修したりしないかぎり、一般の方にはちょっと縁のない事なので致し方ないのですが、改正建築基準法によってトータルGDPの約1%が損失したとなると、尋常ではないとどなたでも思うはずです。でも、何が問題なのか?となると知られていない方が多いですよね。。

そもその改正されたきっかけは一連の構造偽装が発端です。

建築物を建てるには「建築確認申請」という申請が必要になるのですが、これは建築物の計画が建築基準法等に適合するものかどうか、建築主事の確認を受けるための申請をすることを差します。建物の新築、10平方メートルを超える増改築・移転、大規模な修繕・模様替え、100平方メートルを超える用途変更(建物の使用用途が例えば倉庫から店舗に変わる場合など)の場合は、建築主はその計画が建物の敷地、構造、設備、用途などが法律に違反していないかチェクを受けるため申請し、その確認を受けなければならない訳です。申請書を提出する先は、都道府県または市区町村の建築主事のほか、民間機関である指定確認検査機関に提出し審査を受けます。構造偽装問題が発覚した際に、有名になってしまったイーホームズは、この民間の指定確認検査機関だった訳です。

役所である、国土交通省とその指定をうけた民間の指定確認検査機関が、実際の構造偽装を未然に防げなかった事に世論の反発があった訳ですけど、これを受けてより厳格化されたのが、「改正建築基準法」になります。概要は国土交通省のウェブサイト:平成19年6月20日施行の改正建築基準法等について(PDF)でどなたでも閲覧できますがポイントとしては下記の5点で、

1 建築確認・検査の厳格化
2 指定確認検査機関の業務の適正化
3 建築士等の業務の適正化及び罰則の強化
4 建築士、建築士事務所及び指定確認検査機関の情報開示
5 住宅の売主等の瑕疵担保責任の履行に関する情報開示
6 図書保存の義務付け等

が、強化厳格化されています。この中で、建築業界が混乱に陥っている要因は大きく3つあるのですが、一つ目の要因は「建築確認・検査の厳格化」です。一定の高さ以上等の建築物については、第三者機関による構造審査(ピアチェック)が義務付けられることになりました。ピアチェックそのものは、構造設計とのダブルチェックの意味合いもあるので、むしろ歓迎される建築主さんも多いと思いますが、これにより時間と手数料が余計に掛かってしまうことが問題なのです。特に問題なのは時間的な問題で「構造計算適合性判定制度」の導入で建築確認の審査期間が「3週間」から「5週間」に延長された事。さらに状況や詳細な計算を伴う場合は「最大で10週間!」掛かってしまいます。費用的にはおおよそですが、25万円以上の構造計算チェック費用が設計の構造計算とは別に発生します。確認申請で最大70日掛かるという事は、建築計画そのものが遅延する事を意味する訳です。

次の要因が、「補正慣行の廃止」。
改正前は、設計図書に不適合な箇所がある場合には、建築主事等が申請者にその旨を連絡し、補正させた上で確認するというスキームでしたが、誤記や記載漏れなどを除き、図書に差替や訂正がある場合には補正が認められず、再申請をしなくてはならなくなったのですね。要は、建築主側の要望で発生した変更が認められない、予め建築計画の内容をFIXする必要がある訳です。これは、かなりきつい。軽微なものを除いて変更できない訳ですから。

そして最後の要因が「着工後の計画変更」の扱い。
施工現場が始まってからの変更は、原則として計画変更申請が必要になったのですが(軽微な変更は除き)補正で対応していた部分も、このような変更が生じた場合は、一旦工事をとめて計画変更申請を行わなくてはならない訳です。構造的な変更があれば、再度ピアチェックが必要になる訳で要は、変更に対するスキームが厳格化されすぎて、例えば計画企画段階で思慮を要するだけではなく、不可抗力で発生した計画変更でも申請しないといけないのは、完成引き渡しのタイミングが厳密には読めない事を意味します。

建築業界が混乱に陥っている要因は、大まかに言ってこの3つがポイントだと思うのですが、最大の問題はこの取り扱いを執行する役所が混乱している事です。都市部では、沈静化しつつありますが地方では混乱が治まっていない話も聞きます。質問に答えられないケースが多く、改正基準法の扱いが役所の上から下まで徹底されていないのが一番の問題かも知れませんね。期間が掛かり、計画変更が難しく、補正が発覚したら再申請では、建築物の竣工件数が大幅に減るのは当たり前です。建築業界を混乱に陥らせている改正建築基準法ですが、規制緩和の動きもあるようですし、早く現実に即したスキームに改正される事を願うばかりです。。

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