感覚を磨くこと

毎年仕事始めの前に自分の中で決めている「決めごと」みたいなものがあるのですが、その中に今年一年デザインワーク上の「アクションテーマ」があります。アクションテーマと書くと何やら格好良さそうですが(笑)、そうでは無くて「迷った時の拠り所」として僕自身どう行動するか? これが僕のアクションテーマなんですね。どんなときでも迷いって発生し易いですし、まして世相が厳しいときならなおさらです。
こんなときは人の話や読書の中にヒントを求めるのですが、結局今年も「感覚をより磨く事」で落ち着きそうです(笑)。感覚・・というと適当な響きがしなくも無いんですが(笑)、ロジックを蔑ろにするという意味ではなくて、培ったロジックも大切にしつつ五感をフル活用して「感じた事を大切にする」事が、今一番大切な事だと思うからです。去年も同じテーマだったのですが、より感度を高めて、ターゲットとすべき人たちが本当に喜ぶものを創っていかないといけないのではないかと。もちろん今までもがんばってやっているんですけど(笑)、足りないんじゃないかと。
続きは下のmoreで・・・
なぜ、こんな事を思ったかというと「感覚が蔑ろになっていることは実はマズいんじゃないのか?」って自問自答していて「情報の取り込み方が早い人が先をいく」みたいな風潮に抵抗を感じていたからです。端的に書くとウェブサイトやブログの情報で観ても触ってもいないのに「自分は解っている」みたいな風潮を感じるんですね。空間系のデザインは特にですが、クライアントとの話の中でも「仮説」を立てる上で最も大切なのは、仮説を立てられるだけの原体験を自分が経験しているかだと思っています。そうなると実際にショッピング(洋服からスーパーでの生鮮の買い物まで)したりライブや寄席、映画を観に行ったり、ドライブで出かけたり、海外に旅行をしてその国の文化に触れたりすることで得られる「脚をつかって感覚を磨く」しか方法がない訳です。幸い僕はモノ好き&お出かけ好きなので(笑)この点は苦労に感じないのですが、このアウトラインでも取り上げたモノは必ず手に取って、実際体験した事を書くように心がけています。
いま僕が読んでいる本の一冊で「真クリエイティブ体質」という元博報堂のコピーライター&役員だった方が書かれた本があります。この本の前書きで次の一節があります。。
『いまとても気になる事があります。それは一人一人の意識や行動の中から「感じる」ことが消えかかっている事です。知る事にはとても熱心なのに。不思議です。- 中略 - 「五感に触れるものが全て情報である事」と「その触れる感覚的な部分が創造性に不可欠だ」ということを忘れているようです』
僕自身、仮説をたてなかがらも自問自答していた事がまえがきの数行でずばっと書かれていて、目から鱗でした。この本の感想は後日書こうと思っていますが、感覚を磨く事の重要性を説いています。感覚の事で言うと、僕が愛用している「ほぼ日手帳2009」で手帳デザインの監修を担当したグラフィックデザイナー佐藤卓さんも「ほぼ日」で同じ様なことを仰っています。ちょっと長いですが引用しますと・・
『手帳のデザインに必要なのは、もっと微妙なものだと思うんです。僕自身が手帳を選ぶとしたら、罫線の細さとか色とか、どこで罫線が止まっているかとか‥‥もちろん僕はデザイナーだからそういう、ごく細かいところまで見るんですが、普通の人も、なんとなく、でもちゃんと感じていることだと思います。手帳の中にある、いろんな情報を受け取って、そのトータルで、あ、これ、いい、って判断してる。デザイナーはそれを言語化したり分析したりするんですが、それはプロだからわかるということではなく、人はみな、それを感じているはずなんです。それを「感じていない」という前提でデザインする、人の感覚を信じないデザインが、世の中には多過ぎるような気がしますね。でも、0.1ミリと0.15ミリはやっぱり違う。言葉にはならないけど、なんとなく違うことは、みんなわかっていると思います。- 中略 - じつはそれって、ものすごく微妙なことだと思うんですよ。そのデリケートなところを、人はちゃんと受け取っている。』
やっぱりこの感覚でしか説明の付かない部分を自分自身磨いて、感度を高める事。そしてクライアントに納得してもらえるように、可能であれば一緒に感度を高めていく事。今年はこの「感覚を磨いて」よりブラッシュアップする事がデザインする上で大切な気がしてならないのです。
_______________________
参加ブログポータル:別ウィンドウでリンクします