世界を変えるデザイン展のプロダクト

発展途上国に住む人びとが直面する、さまざまな課題を解決してきた“デザイン”を紹介する「世界を変えるデザイン展」がAXISギャラリーと東京ミッドタウン・デザインハブで開催されますが、これを見に行ってこようと思っています。このエキシビションで取り扱うのは、発展途上国で実際に使われているプロダクト50点。それら個々がもつ機能はとても原始的だけど、製造&流通コストを押さえ、現地の状況に適応した優れたユニバーサル性を持つものばかりです。
なぜ、ユニバーサルで機能的なこれらのプロダクトをデザインエキシビションとして開催されるか?・・・という部分がポイントなのですが「先進国におけるデザインは、世界総人口のほんの10%を対象にしているに過ぎない」ということ。その他90%の人びとのニーズに目を向け、彼らの生活水準を向上させ、自尊心に満ちた生活を提供する使命をもっているのではないか?というのがきっかけのようです。以下は、このエキシビションで展示されるプロダクトの一例。

LifeStraw®
TVで紹介されていたものをたまたま見て衝撃を受けたのが、この個人用水清浄器「LifeStraw®」。人間生きていく上で欠かせないものが「水」ですが、発展途上国の多くが安全な水が確保出来ず、毎日、約6,000人が汚れた飲み水が原因で命を落としている、そんな現状から開発された水清浄器です。
多くのアワードを受賞した優れたプロダクトですが、これが優れているのはその性能・・15ミクロンといった小さな粒子をも取り除くことができ、99%以上のバクテリア、98%のウィルスを濾過し、フィルターは約700リットルまで浄水することができる・・だけでなく、非常にローコストで作られている事です。

Q-drum
大量の水を運搬する為の水運搬器具がこの「Q-drum」。よくTVでアフリカの砂漠地帯の映像で、井戸や水汲み場から汲んだ水を、容器に入れて、頭に載せている光景が映し出されたりしますが、水を汲みに行くのは、女性や子供の役目なんだそうです。近い場合は問題なさそうですが、家から水汲み場までが数キロあることも珍しくなく、そんな距離を頭に載せると慢性的な首や腰の病を煩ってしまい、水も汲めない状況に至る事が珍しくないそうです。それを解決するのがこの「Q-drum」。見ての通り「転がす」仕組みになっていて、50Lという容量は子供が転がすにはこれ以上の容量だと難しいという計算を元に設計されたそう。単純な形状ですから当然ローコスト。

Treadle-Pump
世界の貧困層の7割が農業を営み収入を得ているのですが、水が不足する時期、水源から離れた農家の人々は、水を運ぶために長距離を何度も往復しなければならず、これが収穫の不安定に繋がっているそうです。灌漑されていない田畑に水を安定供給するとなると、当然ポンプが必要になりますが、これを解決する為に開発されたのが、Treadle-Pump。このポンプが優れているのは、その設計思想で、ポンプの基幹部分のみ供給し、駆体部分は基幹パーツと同梱された設計図を元に現地調達可能な素材で簡単につくれる「半既成、半手製」ポンプであるところです。
僕が個人的に感銘を受けたプロダクトを3つ取り上げましたが、これらのプロダクトには共通点があります。まず非常に安価に供給出来ること。国連や先進国の援助だけでは限界がある上、自立する事を前提にすると、1日2ドル以下で暮らしている人たちが自力で買えないと意味が無いんですね。二つ目は、ユニバーサル性に優れていてどの国に持っていても性能が出せる事。同じものを大量に作り出す事でコストが下がる訳ですから、優れたユニバーサル性が求められます。そして三つ目が優れたユーザビリティ。誰でも使えないといけない訳ですね。
この3つのプロダクトはあくまで展示の一部ですが、こういった問題に対しての着想とプロセスは、デザイン関連の仕事のみならず、普段の仕事のヒントを与えてくれるような気がするのです。。
東京ミッドタウン・デザインハブ会場
発展途上国で実際に使われているプロダクト約50点を、生活者の課題と、その解決方法を中心に紹介します。発展途上国の人びとが見ている「日常の世界」を変えるプロダクトを紹介。
会期:5月15日(土)〜6月13日(日)11:00 〜 19:00
住所:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー 5F
Tel.:03-6743-3776











